世界の果てをつれて歩く

日常と幻想(笑)の間をうろうろしているどうしようもない人のブログ

夢のような世界に入れない

私のパート先はちょっとした観光地にあります。

夏休みがおわった今お客さんはぐっと減り、仕事も少なくなってきたのでその日はいつもより早めにあがらせてもらいました。

観光客が来る町というのは言い方が悪いですが現実感がない感じがします。

そりゃそうですよね。みんな羽を伸ばしに来ているんですから。

ちょっと歩けばおしゃれなカフェや雑貨屋さんや飲食店が並んでいます。おしゃれです。きっと店主のこだわりの空間なのでしょう。路地裏をあるいてあるいて、見つけたカフェには心地よい時間が流れていました・・・・。という感じです。

 

早めに終わったその日、なんとなく帰りたくなくて何をするというわけでもなくその辺をぶらぶらしていました。改めて、なんていろんな店があるんだろう。

商店街を歩いていると何だかケーキが食べたくなってきました。この辺のおしゃれなカフェは結構高いので普段は躊躇するし行こうとも思わないのですが、最近ちょっとだけ落ち込むことがあったのでくさくさしていたのです。たまには食べたいものを食べてやろうという気持ちでした。

この際だから、「この先はどうなってるんかな」といつも気になっていた建物の2階にある店でケーキを食べることにしました。

暗い細い階段を上っていくと、思ったより明るくて広い空間が広がっていました。ステージのようなものがあってコンサートのような事もできそうなところです。黄色っぽい温かい照明。お客さんは女性ばかりでした。知らないほわほわとした女性の歌声が流れています。

「いらっしゃいませ、お好きな席へどうぞ。」

席に通されてメニューを広げると、プリン、タルト、ショートケーキ、チーズケーキ、、、、何が食べたいのかわからなくなってきました。結局写真が一番きれいだなと思ったブルーベリーとラズベリーが乗ったチーズケーキにしました。

赤いソースとベリーがあふれそうなくらいのっかったチーズケーキが運ばれてきました。きれいだ!何となくカメラでパシャリ。めったに食べないから記念にね。

そして黙々と食べはじめました。ああおいしい。カフェオレも、、、おいしい。・・・おいしい。

本当に美味しかったんです。ああ、やっぱりケーキはいいなって思いました。こんな不思議な空間を楽しもう、本でも読んでゆっくりしようと思っていたんです。

でもなぜだかちょっと悲しくなってきました。さっきまで気にならなかった冷凍ブルーベリーのシャリシャリが冷たく感じます。この空間の絵本の中から出てきたような色合いが、なんだか疲れる。そしてここにいる自分が異物のような感じがしました。一体私は何をしに来たんだろう。何してるんだろう。

食べ終わってすぐその店を後にしました。

 

私は昔から夢中になるということがあまり上手ではないです。素敵だな、たのしいな、と思ってそこにいるんですが、だんだんそう思おうと頑張っている自分に気づいて焦ります。空回りです。ああまた私には入り込めない世界だったんだと虚しくなります。

中学高校の時は周りが夢中になっていることにあまり興味が持てない自分にものすごく焦っていたように思いますが、今は私はそういうやつなのだからしょうがないかなって感じがします。

体力がない時があるんです。夢のような世界にふさわしくないときが。

うまく表現できませんが、楽しむというのは結構元気がいることなのだと思いました。そんな時もある。それだけのことです。

でもちょっとだけ寂しくなった日でした。